text & photo : 片岡 優子
福江市内から福江(五島つばき)空港へと向かう空港線の道路を鬼岳方面へ左折して10メートルくらい進むと、池坂観音があります。
「福江市史」によると、池坂観音は古代祭祀の遺跡で、女性器を象徴する洞窟があり、安産祈願のために観音様が奉られています。終戦前までは、それと向かい合って男性を象徴する高さ一丈の石刀があったとのことです。現在は見当たりません。
福江には古代祭祀遺跡があるように、歴史の古い島です。その例として、池坂観音を紹介します。
古代祭祀の重要事項は、豊穣祈願でした。そのために、豊作や豊漁を祈願するとともに、多産と安産を祈願しました。その意味で、池坂観音は、豊穣祈願の一つである安産祈願の代表的な祭祀事例です。したがって、近世の観音を含めて、性にまつわる象徴などが池坂観音には祭られています。
昔は、女相撲が奉納されていました。
中で酒盛りが始まって宴もたけなわになると、男性たちは相撲甚句を披露し、
女性たちは肌着になって女相撲が始まったそうです。
池坂観音へ行ってみます。
五島市内から空港に向かう道路「県道63号(福江空港線)」を進みます。
直進すると空港です。
ここを左折して、鬼岳方面に行きます。
鬼岳方面に直進します。
10メートルほど直進すると右手に石碑が見えてきます。
池坂観音に到着です。
階段を登っていくと左手入り口付近に3つの石塔が並んでいます。
一番左の石。文字は刻まれていません。
そして2つの石塔が並んでいます。
左の石
消えかけていますが、黄色い文字で「女石」と書かれています。
そして右手の石
「男石」との文字が確認できます。
3つの石を背にして、奥へと進みます。
右手奥に大岩が見えます。
大岩の表側にまわると、祠があります。
石の扉を開けると、石像が5体ありました。
中央が観音様。
池坂観音には小さな小屋があります。
旧暦の三月十八日が池坂観音の縁日です。毎年この小屋に人々が集まります。
昔は、女相撲が奉納されていたそうです。
女相撲に関しては次に詳細を紹介します。
「女相撲」
小屋の中で酒盛りが始まって宴もたけなわになると、男性たちは相撲甚句を披露し、女性たちは肌着になって外で女相撲が始まったそうです。
実験映画製作上映グループ「フィルム・アンデパンダン」の写真家、金坂 健二氏(1999年逝去)撮影による池坂観音の女相撲の様子の新聞記事です。
現在は子供の頃に女相撲を見た女性たちが池坂観音の世話をしており、
お茶を飲んだり、ご飯を食べたりしてお話をします。
残念ながら現在は女相撲は行われていません。
コロナ新型ウイルスの影響で2011年と2012年は縁日の会合は中止です。